正直言って前の晩は遅かったし、次の日はまた朝から南京へ移動だし、疲れていたのでどうしようかと悩んだが、せっかく久しぶりの広州だし、また次回はいつになるかわからないので夜の街に出てみることにした。と言っても全く土地かんがないのでとりあえずフロントで近くに日本料理屋がないか聞いてみるが知らないとの答え。このときおもしろいことを言っていたのが記憶によみがえる。「あなたは本当の日本料理を食べたいのでしょう」、つまり偽物の日本料理ならある、と言うのか。いや、多分吉野家とか日本式のラーメン屋とかならある、という意味だったのだろう。
仕方がないので、大昔に行ったことがある、広州一の老舗ホテル東方賓館を目指す。本当はその裏にある別のホテルに行こうとしたのだが改装中で入れず、結局東方賓館に入る。だが一応日本料理屋はあるものの極めて高級で高そうだったので、今度は隣の中国大飯店という、昔はなかったどでかいホテルに向かう。ところがほんの数十メートルの道のりなのに例によって怪しげな物売りやら、明らかにその筋と思われるお姉さんたちが次々と声をかけてくる。一体中国はいつからこんな国になってしまったのか。
ようやく目指す日本料理屋にたどり着き、いつものように日本語と中国語ちゃんぽんでウェイトレスのお姉さんたちと話をしながら適当におなかを満足させ、熱燗を二本ほど飲む。ここも板さんはみんな中国人らしかったが、さすがに大きなホテルだけあって料理の質は高い。ただ、明らかに日本人観光客と思しき若者がこんな店で夕食を食べているのはちともったいないと思う。この旅行記をずっと読んでいればおわかりのように私も中国に行ったら明らかに日本食を食べる回数が多い。しかしそれはもう年齢が50台半ばであり、あまり脂っこいものは歓迎しない、いつも一人旅なので中華料理は食べにくい、という理由があるからで昔商社時代にはそもそも日本料理なんてなかったから、結構あちこちで中華を食べ歩いていた。若いうちはせっかくだからもっと現地で冒険すればいいと思うのだが。
おなかが満足したところでまたお隣の東方賓館に戻る。今度は日本人クラブが目的地だ。なんと目指すクラブはホテルの最上階の一番奥まった数部屋をブチ抜いて営業していた。その昔このホテルに何度も来た事がある身としてはなんだか感慨無量であった。上海のクラブと同じようにずらずらと女の子たちが並んでその中からお相手を選ぶシステム。聞くところによると広東人の女性は外人よりも中国人の方が好みとかで、現地の中国人向けお金たち向けのクラブにはそれこそ絶世の美人が揃っているとか。似たような話は後に北京のクラブでも耳にしている。いつか現地人向けのクラブとやらにも行ってみたいが、値段のほうもハンパではないらしいのでさて。
女の子相手に酒を飲み出したら一気に疲れが出てもう眠くてたまらない。もったいないと思いつつ一時間いるかいないかで退散、ホテルに戻ってさっさと就寝。その晩は騒音も大したことなくぐっすりと寝ることが出来た。